日焼け止め・日焼け用化粧品 市場
2020年5月 4日 (月)
統計データから市場を考えてみる第1回目。
日焼け止め関連商品って2月頃から売れ始めるのがサイクルだそうです。そうなのだとしたら、生産は11月とか12月頃にピークを迎えるのでしょうか。そして在庫は夏から秋に空っぽになる、こんな予想が出来ます。ということで、最新の鉱工業指数から「日焼け止め・日焼け用化粧品」の生産・出荷・在庫を見てみようと思います。
鉱工業指数について
鉱工業指数とは、経産省が発表する産業の状態を明らかにする統計データです。品名別、用途別などありますが、品名別であれば、現在369品目あり、かなり詳細にどの製品がどのくらい作られているのか、どのくらい在庫を抱えているのかなど確認できます。3月末までのデータを4月中に数値化し公開するのでこの手の統計では素早い公開である点でも市場分析の上でとても重視されているデータです。
経済産業省生産動態統計調査という調査活動が経産省として毎月実施されており、そこから指数化したものです。生産動態統計調査は基幹統計と呼ばれ、さまざまなデータの基礎となる定点観測のデータです。とはいえ日本中のすべての生産品を毎月調査するのは不可能なので、各品目について事業所をいくつか選び定点観測でデータを出してもらうようです。
日焼け止め・日焼け用化粧品の鉱工業指数
グラフにしました。こんな感じ。
生産は手違いで2019年以降しか無いので、おいおい差し替えますが、ひとまず出荷にはするどいピークが定期的にあることがわかります。11月頃でした。そして、数年前まではわりと出荷ピーク後に在庫は残らなかったようなのですが、ここ2年ばかりは在庫が積み上がったままになっています。出荷量も年々増加なのに、なんで在庫がこんなに多いのでしょう?メーカーは卸におろしたら、後は卸がドラッグストアなどに順次出荷していくはずですが、、。
【仮説】インバウンド店頭爆買中心からEC中心へ
中国などのインバウンド客が店頭で爆買するモデルがメインであれば出荷でどかんと出してしまえば在庫はあまり持たなくて良いはずです。在庫はコストなのでメーカーは避けたいはず。なのに、、
ここで推測です。アマゾンなどのECの発達でさまざまなネット小売事業者が増えたことが影響したのかも。
ネット小売事業者は在庫を抱えず、消費者からの発注があってはじめてメーカーに発注し、メーカー在庫から直接発送してもらうモデルを見かけます。このモデルが2018年頃から機能しはじめ、19年に形になったのではないでしょうか?
もし、出荷で終わりにできるシンプルな事業形態から、メーカーが在庫を抱えEC事業者と連携販売するモデルが台頭し、合わせることで大きな売上を作るようになっていたのかもしれません。
2020年の夏に在庫は減るか?
夏にかけて、巣篭もりでも日焼け止めは例年以上に売れるのか?もちろんここが一番のポイントではあるものの、もし昨年よりは販売量が減るなら、その少ない販売は誰がするかと言えば、ネット小売とドラッグストアであり、両者が値下げ合戦によっていっきに価格を下げるからこその販売量でしょう。
ということで、この膨大な在庫の流れをあと2ヶ月ほど、ネットの小売価格の変動と鉱工業指数の両面から追ってみるといろいろ分かってきて面白そうです。
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