多くの組織が失敗する!部分的なテレワーク制度が機能する組織とできない組織の違い。
2020年7月29日 (水)
「2割の人だけ出社、後の人はテレワークね!」は危険なんです。
コロナ禍の中、皆様お疲れさまです。
読者の中には現在リモートワーク/在宅勤務で出社していないという方もおられると思いますが、同時に出社されている方もおられると思います。業務内容による違いだったり、会社の方針だったり、オフィスの立地だったりと理由は個々に違いますね。中には出社しないならどこで働いても良いということで、人混みを離れ、安全な地方に数週間滞在するワーケーションにチャレンジされる方もおられるかと思います。
全員出社禁止という方、もしくは特定の曜日に部門全員が集まる機会がある方はあまり問題生じないのですが、部門内で部長以上は出社とか、メンバーの一部だけは出社にして、その他は在宅といった方針で運用されているところもあるのではないでしょうか?
今回は、そういう部分的な出社をされている組織の抱えるリスクを説明します。
リモートは感染リスクも低いし、食費も少なく済むし気楽に仕事できる
言うまでもありませんが、リモートワークにはメリットがたくさんあります。
- 通勤しないので移動中の感染はほぼゼロにできる
- 通勤時間が無いので一日を効率よく過ごせる、家事や子供の相手だってできる
- コンビニとか自販機に不用意に近づかないので健康的な食事にありつける
- スーツや衣服の自由度が上がる
- 室温調整を自分中心にできる
- 自分のペースで仕事が出来るので集中できる
なかなかです。「時間」を自分に取り戻したような魅力的なものが並んでいますね。
しかし、この最後の「仕事」の進め方はメリットばかりではないのです。
- チームで仕事をする際の調整をすべてZOOMミーティング、電話、メール、Slackといったツールで行わなければいけない
- 新しいIT環境に慣れなければいけないため対面では反応良い人なのにネット経由だと反応悪い人も現れる
- PCは会社支給を借りられたとしてもネット環境は自前のため、個人差が生じやすい
- 朝型の人は早朝から仕事していたり、夜型の人は夕方以降に本腰入れ始めたりと時差のようなものが生じる
- 急な、そして対面だとすぐ解決するような相談事/頼み事がしにくい
急な頼み事をする人って誰でしょう?
はい、上司です。
上司の方からすると、これまでは「ねぇ、ちょっと」で部下の仕事に割って入るのは簡単でした。何より顔を見れば、本当に切羽詰まってそうかは分かるので、無茶苦茶な割り込みはなく、手頃な割り込みです。
ところがネット経由だと、これが分かり難いんです。
上司と部下が離れ離れだとどうなるのでしょう?
気軽に頼み事をできなくなると、まず上司のパフォーマンスが下がります。ストレスもたまります。これってチームとしては決して良い状態では無いですよね。
気軽に頼める相手が周りにいるから、より大事な業務に集中するのがこれまでの上司の仕事の仕方です。
ここが最初に崩れるんです。
でも、全員がリモートワーク/在宅勤務だと、他の上司たちも条件同じですし、その中でノウハウもたまります。だから上司の方が徐々に慣れていきますし、早く慣れて成果出せるようになった人がさらに昇進していくことでしょう。チーム業績も上がるのでボーナスや昇進にも好影響です。
一部だけ出社のチームメンバーは上司にとって格好の頼りたい相手
出社することになったメンバーの目の前には、困っている上司がいます。
出社すると、その手伝いをすることになりますね。
ここで上司間に格差が生じます。
頑張ってチームメンバーを全員リモートワークにして苦戦する上司と、二人くらい頼りたいメンバーには出社してもらう上司です。
何が起こるかといえば、、
はい、変わらなくても成果が出しやすいんです。
そんな上司のチームの方がチーム成果は出ます。リモートワークしている上司がそれに気づくと、自分のチームも一人か二人出社させたくなるでしょうね。
こうして、リモートワークは徐々に出社に戻っていきます。
もっと怖いのは、部下同士の競争に影響すること
上司からすると、役に立つ部下は有り難いです。心理的距離は近づきます。
リモートで頑張っている部下と、出社する部下では、その場所の違いがちょっとだけ、ほんのちょっとだけですが心理的距離の差を産むのです。
しっかりした、人事評価を正しくできる上司の下だったら、この差もほとんど影響しないでしょう。
ですが、全ての上司が公平な評価できるかというと、そんなことはありません。
その差があるチームから昇進や昇給意識の強い部下が出社を選ぶようになってしまうんです。
部署内は徐々にギスギスしてきますね。これが問題です。
これを解決したい上司は、自分には難しい公平さを達成するより、こそっと全員に出社の機会を与える方が楽ですね。ということで気がついたら皆出社している部署に戻るのです。
もちろん、その中でリモート継続する人もいるでしょう、その人は昇進とか昇給で不利になる可能性は否めません。会社というのも人が動かしているため、こういう「人」ならではの問題は避けられないのです。
結論、一部だけリモートワーク/在宅勤務を解除されるチームは人事評価という爆弾によって全員出社に切り替わっていく
今どき、人事評価なんか気にしてねーよ、という方は問題ありません。今回のことが重大な問題になるのは、せっかくなら今の会社で昇進したい、給料もあげていきたい、役員を目指したいといったタイプの人です。
そういう方は、薄々気づいているとは思いますが、こういう仕組みを意識して、くれぐれも慎重に通勤していってくださいませ。
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