金融市場、時々国内経済

金融市場に関するメモ。 あと、国内経済についても気づきとか書いてきます。

はじめに

アパレル産業が大変な状況にあります。これはファストファッションの到来からずっと言われていたものですが、昨今の新型コロナ禍により、いよいよ強まっていると言えます。

そんな中、30年前には大苦戦に陥っていた京都の友禅染をはじめとする着物産業について少し情報を整理します。

現在の取り組み

京都市産業技術研究所というところが、以下の研修を実施しています。

言うまでもなく、技術全体像をざっくりわかりたい人が短期間で学ぶコースです。本物は何年もかけて徒弟制度のように学ばねば得られないこれまで通りの状況です。一方で、世界はインターネットの到来で劇的に変わりました。将棋や碁の棋士はネット対戦やAIとの対戦により急速に学び成長する機会が得られるようになりました。ただ、これは2006年頃には言われていたものです。梅田望夫氏が当時シリコンバレーでの生活で感じたことを著書「インターネット進化論」に記し、ネット上でも盛んに発信されていました。「インターネットは学びの高速道路」といった例えをされていました。

このような学びが激変する中、知らず知らずのうちに多くの人が学びに対して、徒弟制のような10年、20年かけて一人前になるモデルを受け入れられなくなりました。昭和の遺物というやつです。現在もプロ棋士の藤井聡太七段がタイトル戦に挑戦していますね。才能が開花するまでの時間が短くなったと捉えることもできます。逆に向いていないと気づく・判断するまでが早くなったとも。昔だと20年もその世界にどっぷり浸かっていると、向いていないとか今更言うことも出来なかったわけですが、1年程度ならいくらでもやり直せるわけで、その結果、なかなか若者が時間をかけて学び続けてくれなくなりました。

上記のような研修コースはそういう人の短期の概観掴むのには悪くないのかもしれません。

ただ、これで分かった気になるだけで、高度だが時代に合わなくなってきた技術の他展開への応用まで考えることができるようになるのだろうか?という疑問が残ります。こういう知見はやはりもう少しどっぷり浸からないと出来るようにならないかもしれませんし、浸かったら出られなくなる(視野が狭くなる)のかもしれません。ここはほんと難しい。

一応Youtubeにも動画があります。

ところで、概観を有償の研修でしか見ることも出来ないのはやはり今の時代には合いませんね。ソースは古そうですがこんなのあります。


YouTube: 京友禅の老舗「千總」 友禅染 PROCESS OF YUZEN

これからどう考えていくべきか?

高い技術を前提としながらも、それを着物にだけ適用するのでは生き残れないのが現在です。着物なんて、今どき新しく仕立てる人はほんと少なく、みんな古着を使っています。それでは職人さんたちは食っていけません。職人には保有技術を新たな領域に適用し、付加価値を生み出すしかないのです。さらに、職人は一人、二人ではありません。友禅などは実に細部に渡って分業化されており、それらが全員生き残らないと作れないので、その細分化された膨大な専門職の職人たちにそれぞれに別の適用先を見出さないと最終製品である友禅染は生き残れないのです。

よく着物文化を残すために、小物作ったりしてメディアで一瞬取り上げられている様を見かけますが、友禅はその膨大な職人それぞれに同じく適用先を見いださなければいけないのです。これはかなりの人数の仕掛け人、デザイナー、マーケターらの総力戦でないととてもできないものだと考えます。

おそらく2025年くらいまでがタイムリミットではないでしょうか。職人さんは70台、80台の方が多く、後継ぎ無し(サラリーマンで家を出た、とか)が多いですので。

私も考える沢山の人の一人になれればと思います。

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